ランボ編


ほんとツナってダメダメなんだもんね。
ドジで、頼りなくて、不器用で、な〜んもイイとこないけど。
けどランボさん、ツナが泣くの見るのイヤなんだもんね。
ツナはいつだってわらってるのが、いいんだもんね。
Vongola Ring'Battle#05
その手に大空の輝きを



ボンゴレリング争奪戦、かろうじて勝利におさめたものの、了平の受けたダメージは大きかった。
「ぐっ」右腕を抱え、崩れ落ちる了平をとっさにツナヨシが支える。
「了平さん!獄寺くん、すぐに病院で手当を」
「お待ちください。守護者の退場は認められません」
「なっ!」
「争奪戦の間は我々チェルベッロがルールです。従えなければここで失格となりますが、よろしいですか?」
「そんな・・・」
「十代目、ここはヤツらに従うしかなさそうですね」
「ああ、みたいだな」
「気にするな、沢田。このぐらい何とでもない」
「では続いて<雷>の守護者対決を行います。バトルフィールドへ移動しますので、みなさま、こちらへ」
チェルベッロにより、リング争奪戦は容赦なく続く。立会人をつとめているディーノとリボーンも何も言葉を発することはなく、無表情で移動していく。
ふらつく了平を獄寺と山本が支え、<雷>のバトルフィールドへ移動するツナヨシたち。
傷つく仲間の姿を目にして、ツナヨシの心は揺れていた。
(ほんとに、こんな事でいいの?このままじゃ、みんな・・・)
そして到着した<雷>のバトルフィールドは、避雷針に囲まれ、電流が絶えずながれるエレクトリコ・サーキットだった。折しも天候は悪化し、頭上には暗雲がたちこめ、大粒の雨が落ちてきた。みるみる勢いを増す雨。突如、夜を切り裂いて雷が避雷針を直撃する。
「わっ」「十代目!」とっさに、獄寺がツナヨシを抱きかかえ地面にふせる。
「十代目、おケガは?」
「ない、けど・・・」呆然と閃光を放つエレクトリコ・サーキットを見るツナヨシ。
「最悪だな」
「ああ、アレをくらったら一発で黒こげだぜ」

「では<雷>の守護者はバトルフィールドへ」
「なはは、ランボさんの番だもんね。ランボさん行ってくるもんね〜」
「ランボ!」飛び出すランボを捕まえてツナヨシは優しく語りかける。
「よく聞いて、ランボ。イヤなら行かなくていいんだよ。守護者だからって、ランボみたいな子どもが闘うことないんだ。そんなの、おかしいよ」
「・・・ツナ?」きょとんとツナヨシを見つめるランボ。けれど彼女の泣きそうな顔をみると、キッと対戦相手であるレヴィを睨み、フィールドへ飛び出していった。
「ランボ!」
「ランボさん、やるもんね」
「では、<雷>の守護者、ランボvsレヴィアタン―――バトル開始」


ザンザスの<雷>の守護者は、レヴィアタン。ザンザスに揺るぎない忠誠心を持ち、電気傘を操り敵を抹殺する。何が相手でも容赦なく命令を遂行する、冷酷な男だった。
バトル開始と同時に、レヴィの攻撃がランボを襲う。避雷針にはじきとばされたランボ、その直後、雷が避雷針に直撃した。
「ふ、んぎゃ、ぎゃ、ぎゃ、・・・・」
「あぁ、見てられないよっ!ランボ!」
(・・・ツナ。また泣きそうなんだもんね。ツナはいつだって・・・・)
―――いつだって、笑ってるのがいいんだもんね。


薄れゆく意識の中、はじめて目にした彼女の笑顔が浮かぶ。あれは、リボーンを追いかけて日本に来てすぐのこと。やっとリボーンを見つけたものの、無視されつつ、こてんぱんに返り討ちにあい、さらに迷子になって、ガマンしてた時。
「どうしたの?迷子?」
「ランボさん、迷子なんかじゃないもんね。どこ行くか、わかんないだけだもんね」
「それを迷子って言うんじゃ・・・」
「ほっとけ、ツナ。かまうとうぜぇぞ」
「あっ、おまえはリボーン!ランボさんと勝負しろ、今すぐしろ!」
「な、うぜぇだろ?」
「でもこんな小さい子を一人で置いていけないよ」
「まったくしょうがねぇな」
「一緒においで。えっと、ランボ?」
じたばたと暴れるランボさんをひょいと抱き上げ、そしてツナヨシはにっこり微笑んだ。
その瞬間、悔しい気持ちも、さびしい気持ちも、スッと消えて。なんにも心配いらないって、思ったんだもんね。
それからリボーンを狙ってるうちに、ツナん家で暮らすようになって。一緒にイタリアに帰ってきた後も、ツナの側にいる。
ツナはドジで、頼りなくて、ランボさんがいないとほんとダメダメで。
いろんな事して、いろんな顔みてきたけど。ツナはいつだって、あの時みたいに。
(十年たっても・・・・)
雷撃でランボから転がりおちた十年バズーカーが、ランボをのみこんで爆発する。
(二十年たっても・・・)
そして現れた十年後のランボをのみこんで、さらに十年バズーカーが爆発した。
―――ずっと、ずっと、笑ってるのがいいんだもんね。


もくもくと立ちこめる煙の中に人影が動く。次第に薄れゆく爆煙の中から現れたのは、つぎはぎのジャケットに、古傷のついた角をつけた青年だった。
「・・・本当になつかしい。またあなたにお会いできるなんて」
「まさか、二十年後のランボ!?」
驚くツナヨシをなつかしげに、いとしげに見つめ、二十年後ランボはレヴィに対峙する。
突如現れた二十年後のランボにレヴィは挑みかかるが、完成された技がレヴィを圧倒する。誰もがこのままランボの勝利を確信した。しかし突如、爆煙とともに、ランボのからだが元にもどった。
「そんな!もう五分たったのか?!」
「ふははは、焼き殺してくれるわ!レヴィ・ボルタ!!」
「ランボ!」見ていられず、飛び出すツナヨシの前にチェルベッロが立ちふさがる。
「お待ちください!勝負に介入した時点で、<雷>の守護者、及び沢田氏を失格とします」
「・・・だから何?勝負って。そんな事のために・・・大事な仲間を見殺しにできないよ!」
その瞳に誰もがハッと息をのむ。
ツナヨシはチェルベッロをふりはらい、力を解放するとレヴィの技をふきとばし、間一髪、ランボを救出したのだった。
しかし、チェルベッロの宣言通り、ランボとツナヨシは失格となり<雷><大空>のリングはザンザスが手にするところとなった。2対1、ツナヨシ達にとって手痛い状況に、


―――続いて<嵐>の守護者の対戦がはじまる。