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Vongola Ring'Battle
その手に大空の輝きを



はじめてあなたにお会いしたとき。
ボンゴレの後継者だと知って、勝手にからんで、下手うって、死にかけたオレを、あなたは自分の危険を省みることなく助けてくださった。
あの瞬間からずっと。いつだって、あなたはオレを受け入れてくださった。
行き場のないオレを。マフィアの世界では相手にされず、かといってカタギの世界にもどるには、その世界にオレは異質すぎた。どこにも居場所がない、それはそのままオレの存在が誰にも必要とされないことだった。
けれど、あなたに会って、自分の生きる意味を見つけた。
必要とされること。あなたを守り、助け、支えること。
それだけが、おれのすべてだ。
だから、この命も、この血の一滴さえも、すべて―――


「そう簡単にやられるかよっ!」
その瞬間、彼らの足下に散らばるダイナマイトが二人を巻き込んで、一斉に爆発する。
爆風がナイフを吹き飛ばし、さらに獄寺とベルをも巻き込む。
「ぐっ!けど、まだまだ甘いよ。いけっ!」血を流しながらも、空中で体勢を立て直し再度ナイフを放つベル。しかし―――
「てめぇのナイフは見切ったぜ!」獄寺はあざやかにナイフをキャッチすると、ロケット・ボムで反撃する。
「ぐはっ。なんで・・・」
「まさか、こんな仕掛けだったとはな。ナイフとワイヤーの併用か。ならあの切れ方も納得だぜ」
「そうか!自分自身をおとりにして敵の攻撃を引きつけ、爆風でナイフを吹き飛ばし、ワイヤーの仕掛けを見破ったのか。やるじゃねぇか、隼人」
「まだだ、これが本当の<嵐>の攻撃だ。果てろっ!」
獄寺の間髪入れない怒濤の攻撃が続き、ベルフェゴールは爆炎にのみこまれた。
「う゛ぉぉぉい。肉を切らせて骨を絶つ。いい判断だぜぇ。
 あれをくらったらさすがのベルも・・・」
「墜ちただろうね。でも・・・」
意識を失ったベルフェゴールからハーフリングを手に入れた獄寺はついにボンゴレ<嵐>のリングを完成させた。しかし、その瞬間またもや近距離で時限爆弾が爆発する。
「ぐあっ」二人とも爆発にふきとばされ、獄寺の手からリングが転がり落ちる。
獄寺はなんとか身を起こしリングに手を伸ばすが、大量の失血で動くこともままならない。
かすむ視界の先に転がるリング。
それを手にしたのは、倒れたはずのベルフェゴールだった。
「リング・・・リング・・・」
「くそ、はなしやがれ!」
意識を失ってもリングをかたく握りしめる、ベルフェゴールの執念。ふたたび時限爆弾が爆発するなかで、ベルと獄寺はリングを奪い合う。
「もどれ、隼人!!」
「手ぶらで戻れっかよ!命の使い所は間違えねぇ。いざって時、出し惜しみしてられっか」
「バカが。おまえは何もわかっちゃいねぇ。何も見えちゃいねぇ。命を賭ける覚悟と、
命を捨てることってのはまったく別なんだよ!
残されたツナヨシが何を思う?!このバカ隼人が!」
「うるせぇ。十代目!大丈夫です。リングは死んでももって帰ります」
「・・・ばか!何のために闘ってるんだ!誰一人欠けてほしくないから、闘うんだ。強くなるんだ・・・勝ったって、キミが側にいないと、意味ないじゃない!」
「十代目・・・」
その瞬間、すべての時限爆弾が一斉に爆発した。炎上する嵐のバトルフィールド、夜空を焦がすほどの炎にツナヨシたちが息をのむ。
「獄寺くん・・・そんな」
「いや、ツナ。あれを見ろ!」
山本が指さす方向には、見慣れた人影。
「獄寺くん!」気力を使い果たし倒れる獄寺に、ツナヨシ達は急いで駆け寄る。
「スンマセン、十代目。オレ・・・」
(あなたのためにこの命を使うと、そう決めたのに。覚悟したのに。それなのに・・・)
「いいんだ、獄寺くん。キミが生きててくれてうれしい・・・ありがとう」
「っ、なに言ってんスか!負けてんスよ、オレ!」
にっこりと笑うツナヨシの瞳に泣いた形跡をみつけ、獄寺はハッと息をのむ。


しかし、獄寺の無事をよろこぶツナヨシたちに、チェルベッロの冷酷な宣告が下される。
「では<嵐>の守護者のバトル結果を発表します。勝者はベルフェゴール。よって<嵐>のリングはヴァリアー側の所持するところとなります」
「う゛ぉぉぉい。やったぜ」
「さすがにベルだね」
「くははっはは、カス同士仲間ごっこか。どうした、チビ。もう後がないぞ?」
「ザンザス・・・」


3対1、ツナヨシ達にとって崖っぷちの状況。
―――次の対戦は<雨>の守護者。